社会

多重債務問題化による銀行カードローン自粛

銀行は貸銀業法で利用者の年収の3分の1までしか貸し出せない総量規制の対象外になっており、300万円以下なら所得証明不要の簡単な審査でローンが組めるようになっています。

このような甘い審査により、申請時に嘘の収入を記入し支払い能力以上のお金を借りて返済不可能になる人が増えてきているみたいです。

貸し倒れの恐れ

このような背景があり、今後、銀行が無担保で個人に貸し出すカードローンの審査が強化されるみたいです。

ふくおかファイナンシャルグループ(福岡、親和、熊本銀行が傘下にある)は、所得証明なしで借りられる金額の上限を50万円以下に絞る(いままでは300万円以下)とのことです。

他に十八銀行(長崎市)、大分銀行(大分市)、南日本銀行(鹿児島市)など主要地銀もそろって審査態勢を見直す方針のようです。

西日本シティ銀行が、4月から返済に困った利用者向けの無料電話窓口を設けました。今後、多重債務者への貸し倒れで貸出金利以上の損失を被る可能性を懸念していることが考えられます。

九州地銀個人向けローン伸び率

超低金利で経営を圧迫されている銀行が、個人向けローンに力を入れだしたことで、九州の主な地銀の個人向け消費生ローン(住宅ローン除く)残高がありえないくらい増えています。

2017年3月末時点の主要銀行の貸出残高は以下の通りです(カッコ内は前年同月比)。

  • 福岡    :約1,657億円(25.5%)
  • 西日本シティ:約2,069億円(23.7%)
  • 筑邦    :約101億円(6.9%)
  • 北九州   :約344億円(4.0%)
  • 佐賀    :約508億円(4.5%)
  • 十八    :約438億円(16.9%)
  • 親和    :約414億円(15.6%)
  • 肥後    :約390億円(6.8%)
  • 大分    :約541億円(9.6%)
  • 宮崎    :約480億円(12.1%)
  • 鹿児島   :約609億円(15.1%)

今回銀行がカードローンの貸し出し審査を強化するのは多重債務を招くと世間からの批判が強くなってきたからだと言われていますが、実際のところ、無理な貸し出しは利益を出すどころか銀行の経営にも悪影響を与えかねないことを考え自粛にシフトチェンジしたのだと思います。

銀行の合併・倒産

銀行は業務の範囲が限られているので今後はフィンテックが世間に浸透し、銀行の存在価値が低下したときに身動きが取れなくなる可能性が高まるはずです。

おそらく10年後には上に書いた銀行のいくつかの名前はなくなっているでしょう。

就職は大変

頭のいい人たちはこれから社会構造が変化することを見越し、銀行に就職することを避ける傾向になるはずです。仮に就職をする人がいるとしても、金融の仕組みを肌で実感するためにとりあえずの腰掛程度にしか考えていないだけかもしれません。

今学生の人は、銀行に限らず、自分が就職した会社が10年後存在しているかどうかしっかりと考えた上で就職活動をしなければならりません。

大変ですが、自分の将来を考えてしっかりと就職活動をしてください。

西日本新聞社説

2017年5月24日の西日本新聞の社説でカードローンについて書かれてあったので追記しておきます。

多重債務の懸念をなくせ

消費者金融で返済できない多額の借金を抱え、数多くの多重債務者を生んだ悲劇が再び繰り返されるのではないか。そんな懸念を抱かざるを得ない。銀行が無担保で個人に貸し出すカードローンによる過剰融資の問題である。

2016年の個人の自己破産申し立ては13年ぶりに前年を上回った。カードローン増加の影響を指摘する声もある。手遅れにならないうちに早めの対策が必要だ。

カードローンは、事前に決められた貸出限度枠までカードを使って現金自動預払機(ATM)から貸し出す融資商品のことだ。銀行の他、信販会社やクレジットカード会社が発行するものもある。

企業向け融資や住宅ローンの金利は高くても年数%に対し、カードローンは最大で十数%に上る。

06年の貸金業法改正で消費者金融などは原則「年収の3分の1まで」という融資の総量規制が導入され、貸付残高は急減した。

これに代わって伸びたのがカードローンだ。日銀のマイナス金利など最近の金利政策で通常の貸し出し業務では利ざやが得にくくなった銀行の事情が背景にある。

総量規制がない上に高収益が期待できるため、大手銀行から地方銀行まで事業を強化している。16年末の融資残高は5兆4377億円と18年ぶりの高水準だった。

九州の地方銀行18行の17年3月期決算でも、個人向け消費生ローンの残高合計は前年度比15.7%増の9103億8500万円で、全行が残高を伸ばした。

全国銀行協会は3月、過剰融資の抑制に向けて広告の自粛や審査体制の強化などを盛り込んだ申し合わせをまとめた。九州の地銀でも一定金額以上に所得証明を求めるなど自主規制を検討する動きが出てきた。これに対して日弁連は銀行にも消費者金融と同様の総量規制を求めている。

自主規制の強化で多重債務の悲劇は防げるのか。利用者が事前にしっかりした返済計画を立てることも必要だが、銀行業界は社会的責任を自覚して、カードローンの過剰融資対策を急ぐべきだ。

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